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2019年3月 8日 (金)

超未熟児が無事成長!

268gでこの世に生を受けた新生児が無事自力でミルクを飲めるまでに成長したと報道されていた。これは凄い。慶応大学付属病院の未熟児チームの実力とその尽力に心から敬意を表したい。
Photo

http://dimi.gger.jp/archives/small-baby-jp-2019-03-01.html

 

世界記録級だとされているが、これがどれだけのことなのか、一般人にはなかなかピンとこないだろう。私が関わったことがあるのは1000gだが、それでも、こんなに小さいのかと愕然とした思いが鮮烈に残っている。3㎏の普通の赤ちゃんでも小さく感じるが、1000gでその3分の1だ。268gというとさらにまたその3分の1以下である。

 

268gという大きさは、比べるいい例えがなかなか思いつかない。不適切、不謹慎ではあるが、わかりやすいのでお許し頂きたい。

 

全国各地で店舗が展開されているので行ったことのある人は多いだろう。『いきなりステーキ』では、肉の美味しさを味わってもらうには300g以上がいいと勧められている。私はグルメではないので本当にそうかどうかは知らないが、たまに行った時はお勧めにしたがって300gにしている。そう、重さはそれ以下なのである。肺などの軽い臓器があるので大きさの正確なところはわからないが、体の6割以上は水分なので、大体同じか、わずか大きい程度であろう。

 

カンガルーやパンダは“小さく産んで大きく育てる”を実践している。しかし、こと人間にはそういう仕組みはない。「卵で産みたい」と面白いことを言った女優さんがいたが、残念ながら人間にはそれもできない相談だ。神の摂理がそのようになっている。母親がいかに努力しても、1000gでも、ましてや300g以下だと、医療技術での対応が必要で、自然には絶対に生きていけない。

 

まず、肺の発達が未熟なので自力で十分な呼吸ができない。気管挿管と言って、喉から気管に管を入れて、その管を通して人工呼吸をすることになる。268gのベビーへのこの操作は未熟児に習熟している医師であっても、非常に神経を使い、難しい。酸素濃度の微妙な調整も必要だ。

 

栄養投与も特殊なはずだ。腕や下肢での点滴確保は神技の域だろう。だから少なくとも当初は臍帯の血管を使ったはずだ。投与の量にも厳密な調整が必要である。体温調節ができない、特に低体温には弱いのでおいそれとクベースから出すこともできない。

 

それらだけでも超がつくほどの高度な技術が必要だが、最大の難関は感染症対策だ。免疫力が非常に弱いので、感染症で命を落としてしまう。そうならぬようにいかに努力しても、そもそも人間は細菌と絶妙なバランスで共存しており、無菌状態はあり得ないため、絶対はなく、神頼みの心境でやったはずだ。神様が味方してくれたと表現しても、それを否定できる医師はいまい。それでもなお、重ね、凄いことだ。

 

“ちょっぴり医療”とうたいながら、しばらく、ちょっぴりも書いていなかった。いささか忸怩たる思いがあったが、今回、この業界に長く身をおいた者として印象をちょっぴり書いたので、ひと安心。またシリーズの幕末・維新ものに戻ろう。

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