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2018年3月29日 (木)

プロとアマ

プロとアマについて時にあれこれ考えてみることがある。手っ取り早いところでWikipediaを見るとプロについて下記のようになっている。

1.「認定プロ」のこと。統括する団体が認定した人。

プロゴルファーやプロボクサーなど。多くの団体

では賞金支給の対象になる。

2.専門家のこと。ある分野について、専門的知識・技

術を有している人。

3.そのことに対して厳しい姿勢で臨み、かつ、第三者が

それを認める行為を実行している人。

4.複数のグレードがある場合、高機能、高耐久性として

上位バージョンや装飾を廃した下位バージョンとしてつ

けられる。

 

なるほど、そういうことか、と思う。4.は機械類やソフトのことだろうか。

 

プロとアマの差が歴然としているものとして将棋と相撲がよくあげられる。

 

藤井聡太さんのように、将棋において、中学生、若干15歳がまさしくプロの高段者を打ち負かすというのはにわかには信じ難いが、疑いようもなく事実としてある。一般的には、棋院認定のプロ棋士になるだけでも半端ではなく狭き門らしい。プロになったとしてもそこから厳しい闘いを勝ち抜いていかなければトッププロにはなれない。藤井聡太さんはそういうのを超越して瞬間移動したみたいだ。

 

相撲も、アマの横綱だった人が入門してすぐに横綱になったという話は聞かないので、相当に差はあるのだろう。殴る蹴るがなく、また、血生臭さもなく、絵になり勝負がわかりやすいだけに取り組みを楽しみにしているシニアは多い。何がどうあったか私にはわからないが、ゴタゴタを早くすっきりさせて欲しいものだ。

 

ゴルフをしない人はピンとこないかも知れない。テレビのプロのトーナメントで、460ヤードのミドルホールでティーショットをスプーンで打ちセカンドは9番アイアンでベタピンにつけてバーディー、というのに驚く。こういうのはヘボには想像すらできない全く別次元の世界だ。アベレージゴルファーではまぐれにも絶対にない。彼我の差のはてなきを思い知る。
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本の世界では、「文筆だけで生活していける」というのがプロとアマの境界線だろうけれども、書物の印税だけで生活できる人というのはほんのひと握りだ。印税は概して本代の1割程度なので、11000円の本が仮に1万冊売れたとして印税は100万円ぐらい。大きな額に思えるが年収としてみればさほどのことはない。売れっ子作家でなければ1回目の印刷は3000部程度で、多くはそれで終わる。何十万部も売れるというのは夢のまた夢である。たとえそうなったとしても、税金を取られるし、継続しなければ生活のあてにはできない。『作家の収支』(森博嗣 幻冬舎)という書があって、著者は工学部助教授から小説家になったとのことだが、それぞれそれなりに売れて、280冊ぐらい出したと紹介している。作家でリッチになるにはアイデアだけでなくそのぐらいの数は必要なのだろう。

 

歴史書は研究者の学績のひとつとして書かれることが多い。疑問がなくもないが、まあプロの作品と言っていいだろう。助教や大学院生は論文が主で本を出す機会はなかなか得られない。これは推測だが、記事によっては非常に詳しかったりして玉石混交なのでWikipediaは結構そういう立場の人が書いているのではないかと思う。

 

西郷隆盛というメジャーの研究では新資料や新解釈はなかなか出せない。若手研究者はいきおいマイナーな人を対象にして原典から詳細にあたって研究結果を論文にする。幕末・維新は複雑なため、全てを深く掘り下げるのは不可能で、一般人向けに時代の全容を語るということはあまり得意ではなくなる。その意味でのプロはなかなか出ない。その分、視点を異にしたものが多くなり、これはこれで私には有難い。

 

司馬遼太郎や海音寺潮五郎、『西郷どん』の林真理子さんなどのプロの小説家は、膨大な資料を渉猟して事実を掴み、そして事実と事実の間のわからないところは創作でつないで都合よくストーリーを組み立てる。だから面白くはあるが、海音寺潮五郎は郷土研究者の面があるとしても、あくまで小説なのだからそのまま事実として受け止めぬよう注意せねばならない。もっとも、大河ドラマは篤実な研究者で“薩摩”の原口泉さんが時代考証をやっているので、大筋での嘘はないだろう。勝海舟は小柄だったが、大男の遠藤憲一さんが演じるようで、これはテレビならではの愛嬌か。迫力はありそうだ。

 

西郷隆盛は、手紙などを収載した全集もあり、大久保利通日記などの資料が製本発刊されており、原典というか一次資料にあたりやすく、研究書も多くある。公文書館などで苦労してマイクロフィルムのくずし文字を解読していく必要はない。親しみのある超有名人で、しかも謎が多いので、学績を重ねる必要のないアマチュアは取りつきやすい。だからとてもアマとは思えないぐらいに詳しく調べてよくまとめられた書もある。内容的にプロとアマの線引きは難しい。

 

西郷隆盛という人は、世間のイメージと違って決して戦争のプロではない、陰謀策謀のプロでもない、政策論のプロとも言い難い。しかし、明治4年から6年にかけて日本近代化の礎を作ったプロのリーダーだと思う。何とも不思議な人だ。

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