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2017年11月29日 (水)

不正続きの日本工業界

これではメードインジャパンの名が泣くというものだろう、と月並みで大仰な嘆きをしてみたくもなる。ちょっと前には三菱自動車のリコール隠し、燃費不正、東芝の不正会計、神戸製鋼や東洋レーヨン子会社のデータ改ざん、日産やSUBARUの検査不正、などなど、何とまあゾロゾロ出てくるものだ。

 

我が愛車のスバル・インプレッサG4もリコールの対象になるのか、と懸念していたら、案の上、ディーラーから連絡があった。「手抜き検査だったんですか?」と意地悪的に尋ねてみると、「いやいや、そう言われてしまえばそうなんですけど、資格者2人がすることころを資格者1人と無資格者1人でやっていた次第で、製品自体には問題ないはずなんですが、改めて2人できちんと再検査させて頂くようにします。どうもすみません」とのことであった。

 

私もバッシングの輪に加わりたいところだが、実のところ医療界も、カルテ改ざん、隠蔽、誤診や医療ミスなど、あまた多くの不祥事で紙面を賑わせてきた。今も少なくない。工業界へのバッシングどころではなく、そういうのを見聞きするにつけ、他人事ではないと、医療界で長くお世話になった者として身が細る思いの方が先に立つ。「血液型を誤って投与してしまった」との報告に蒼くなったのがつい昨日のような気がする。投与したのは血漿製剤で、すぐに気づいて止めたので実害はないはずだと思いつつ、ミスはミスとしてきちんと伝えるのは、情けないながら、やはり勇気が必要であった。

 

楽観と対応の拙さが惨憺たる結末になったのがまだ記憶に新しい雪印乳業の事件だ。健康被害とともに、誰でもが知っていた超一流ブランドがあっという間に崩壊してしまった。「不安が残る原料を廃棄していれば、あるいは、異常を知った時点で最大限の手段を講じていれば」と、当時の社員は痛恨の思いだったであろう。だが、遅かった。社長の対応の拙さもバッシングに輪をかけた。

 

メディアは概してすべからく悪意表現で糾弾するが、起こった事柄は、悪意度というか怠慢度は、あるいは被害は、それぞれにかなり異なっているのだろうと思う。大体にして共通しているのは、あるいはメディアが叩きやすいのは、当事者というか会社に誠実さが欠落していて、内部告発的なもので明るみに出るということだ。

 

コンプライアンスの遵守ということがよく言われる。ルールはルールであって守らねばならない。守る必要がないのならルールを変更すればいい。話としてはいたって単純なのだが、いざ実践となると、それがきちんとできないからこんなことになってしまう。


概して言えば、いくら現場が頑張っていても、社長か、あるいは取締役であれ部長であれ、役職に相応しくない人がその役職についている状況だと、トラブルが起こりがちで、その後の対応も拙くなる。有能な指揮官が少ないことを「第二次世界大戦の日本軍兵士状態」と揶揄して語ったことがある。下から上への力が働きにくい構造も問題だ。名門の大企業東芝が危機に陥ったのはほぼ間違いなくトップの判断の誤りだと思うが、裕福なトップは前途不安な若手社員から罰される心配はない。東芝再興の祖とも評価されるメザシ好きで有名だった元社長は自らを律し、相当な緊張感を持って組織を率いていたのだろう。

 

しかし、起こったことを嘆いても仕方がない。日本は、いくら外国人観光客が増えても、観光では存続できない。依るべき資源がない以上、技術力、工業力、そして貿易で生きていくほかない。例え目先の利益を損ねたとしても、失った信用を是非に取り戻してもらいたいと切に願っている。

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