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2017年2月23日 (木)

「ニュートンプレス」が民事再生

雑誌『ニュートン』を発行している「ニュートンプレス」が民事再生法の適用になったとネットで報道されていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170220-00000066-jij-soci

 

ちょっと前に、元社長が出資法違反とかで逮捕されたとの報道もあって心配はしていたが、何とも残念な話ではある。幸いに、雑誌の発行を続ける努力がなされるとのことで、是非そうしてもらいたい。

 

当たり前のことながら、『ニュートン』は読む人は読むし、読まない人は全く読まないという類の科学雑誌なので、この報道にどれだけの人が関心を寄せたかはわからない。でも、駅の小さな書店にすら並んでいるし、宇宙や物理、火山、生物科学などをテーマにして、綺麗なイラストがふんだんに載っているので、愛読者は結構いるのではないかと思う。かくいう私もその一人だ。少なくともここ数年は必ず手に取り、宇宙関連はだいたい買っている。特集号など、もう少し安くならないものかと嘆きつつ、興味のあるものは結局購入。今もっているだけでも軽く20冊を越えているし、このブログでもよく引用させて頂いている。最近は、特集号に焼き直しの再版というか、改訂版とか増補版が目につき、ちょっと首を傾げていた。何か社内に問題はあったのだろう。
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『ニュートン』はもともと竹内均氏が科学をもっともっと一般人、特に子供達に近づけようと退官後に創設したものだ。東京大学教授といういかめしい肩書ながら、かみ砕いた面白い語り口の科学解説で人気があった。確かタケキンという愛称で親しまれていたと記憶している。イラストを多くしたのも氏の方針だったらしい。学者が雑誌を創刊して、当初は3ヵ月も持たないと危惧されたようだが、その分頑張ったということが初代編集長メッセージとして紹介されている。
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http://save.cms2.jp/newtonpress/newton/message.html

 

雑誌についてはわからないが、本がどれだけ読まれているかの目安が、巻末の第○刷、第○版という記載だ。初版が何部印刷されるかは書によって異なるけれども、出せば間違いなく多く売れるという人気作家の作品は別として、だいたいは初版が3000冊くらいで、注文が多ければ増刷となる。宇宙などサイエンス関連の一般書は数多く出ていて、増刷になっているものも少なくない。この領域に関心を寄せる読者は少なくないはずだ。

 

話を『ニュートン』に戻して、この雑誌の意義のひとつは、研究者が最先端の科学を一般の人に橋渡しするよき場だということだ。難しい研究への取り組み、その成果をまとめる研究論文、教育などが本業ではあろうけど、専門家たちの間でインパクトのある論文はそうそう書けるものではないし、竹内均さんの姿勢がそうだったように、一般の人にサイエンスを近づけるというのも研究者の仕事だろう。それに、読んでいると、研究者も楽しく書いている、あるいは語っているように感じる。一般書にまとめるとなるとかみ砕く必要があり相当な労が必要だが、一般向けのサイエンス誌はスポット的にやれる貴重な場だ。

 

実弟の話によれば、最近は原子核や素粒子論の研究者の層が薄くなっているという。文部科学省の予算も削られているのだろう。なんとも残念なことだ。働かない文科省の天下りも多くあると報道されている。削れる無駄はたくさんあるはずで、それらを排し、一見無駄とも思える、成果が出るまでに時間を要する基礎研究にしっかり目を向けて欲しいと思う今日この頃である。こと『ニュートン』に関しては、学者がやれた私企業の事業なので、気合いを入れて、ビジネスとしてしっかりやって欲しいと切に願っている。

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