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2017年2月 9日 (木)

『たばこはそんなに悪いのか』

たばこが悪いかというと、はっきり、悪い。ちょっと書き出すだけでも下記のようなことがある。

 

・非喫煙者にとって悪臭がひどく、極めて不愉快

・肺がんをはじめとして咽頭がん、喉頭がん、その他悪性腫瘍の原因となる

・肺気腫の原因となる

・歯が汚くなり歯根が痩せて歯槽膿漏にもなりやすい

・解離性大動脈瘤の原因となる(この疾患の多くはヘビースモーカー)

・動脈硬化や末梢血管の収縮をきたし末梢動脈の閉塞や狭小化の原因となる

・脳梗塞の危険因子である

・火のついたたばこの不始末は火事の原因になりうる

・喫煙者は口臭がひどい

・妊婦の喫煙は胎児に悪影響を与える

・年間にすると相当な金額になる

・喫煙者はたばこ休憩が多すぎて不公平

・ポイ捨てで公共の場を汚す

・受動喫煙により非喫煙者に害を与えると言われている

 

などなど、数え上げていけばきりがない。喫煙という悪習が今の時代まで残っているのが不思議なくらいだ。とはいえ、昔は恩賜たばこという下賜品もあったようだし、かつては成人男性の喫煙率は70%を超えていた。

 

実は、恥ずかしい話だが、私自身は愛煙家で、周囲にかなり気を遣ってはいるので今は相当に量は少なくなったものの、意志薄弱にてまだ止めることができないでいる。ポリシーがあるわけではなく、よくある、遊び半分で喫ってそのままズルズルというパターンだ。止めても困ることは何もないはずなのに、スッパリと止められないというのは、やはり何がしかの快感を脳に与え耽溺性があるからだろう。食後のコーヒーとはまことに相性がよろしい。

 

ただ、もう勝負はついた。禁煙への潮流はもう止まらない。「あなたの健康のために」というのは大きなお世話だと思うが、個人のわずかな快楽のために周囲にこれほど不快を与えてしまうのでは、あまりにも正当性に欠け、これは仕方がない。職場はもちろんダメで、自宅も多くの奥方は嫌煙派、ベランダもダメ、外でも喫えるところは非常に限定的、となるともうどうしようもない。

 

そんな中、『たばこはそんなに悪いのか』(喫煙文化研究会 WAC BUNKO)という書を見つけ、早速読んでみた。愛煙家の開き直りの感情論かと思いきや、決してそうではなく、ひとつの論として非常にまともな書だと思う。
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といっても、私の考えは上記の通りなので、この書でもって正当化しようという気は全くない。しかし、そうしようと思えばできるぐらい知的で冷静な筆致で「たばこバッシングの社会現象」を批判している。たばこが文化かどうかは知らないが、昔の映画は洋の東西を問わず喫煙シーンがやたら多いことは確かだ。健康志向を唱道する一方、病気をやたら作りたがる “医療ムラ”への揶揄は痛快ですらある。私も、悪臭をのぞけば、過度の酒の方がはるかに社会悪だと確信している。

 

喫煙文化研究会というのは初めて耳にするが、かの養老孟司さんの名前も入っている。元東大教授で評論家の西部邁氏もメンバーになっている。かなり以前、知人に連れられて参加した少人数の勉強会で西部さんの講話を親しく聴いたことがある。話の内容よりも、そのヘビースモーカーぶりが強く印象に残った。養老さんも西部さんも今は80歳か78歳ぐらいなのに活動的なようだ。名画「ビルマの竪琴」も制作している映画監督の市川崑さんはどの写真を見てもたばこをくわえていて一日に100本喫っていたそうだが、亡くなったのは93歳なので、少々喫っても平気な人は平気なのだろう。ただし、個々の事例の普遍化は誤りを招くので、それをもって大丈夫だということにはならない。

 

嫌煙派はこういう書は絶対に読まないだろう。でも、本から煙と臭いが出るわけではないので、この社会で非常に重要である「多様な意見を知る」という観点から、たわむれにでも一読する意義はあるのではないかと思っている。

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