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2016年12月 5日 (月)

我が難聴の記

難聴に悩まされているというのはプロフィールに書いていることだが、おりしも、123日から129日までは「障害者週間」と定められている。私自身はまだ障がい者として認定されるレベルには至っていないが、この機に難聴体験記を少し書いてみる。

 

私の難聴は高音域が特に弱く、早くやってきた老人性難聴と思われる。手術室での麻酔業務は、異常を察知するために心電モニターや酸素飽和度モニターの音を常に聴いておかねばならず、救急の現場は他のスタッフとの素早いコミュニケーションが必要で、難聴では、万一のことがあれば患者さんに申し訳ないし、私自身も医療事故を起こしたくないので、いわゆる臨床医としての業務は50歳代で早々に手を引いた。非常に幸いなことに、管理職としてそれなりの立場、過去の経験をフィードバックする場や病院の企画設計などの経験が活かせる場を提供して頂いたので生活に困るようなことはなかったけれども、そうでなかったら相当に苦しい思いをしたのではないかと思う。

 

40歳を過ぎた頃、最初に泣かされたのは、耳鳴りだ。結構大きく響くので、あたかも耳鳴りに邪魔されて音が聴きづらいという感じがしていた。実生活にさほど不自由はなかったものの、聴力検査で低下が指摘されていたので、この頃から難聴気味ではあったのだろう。

 

少し自覚症状が進行した頃に大学で耳鼻科の助教授をしていた医師に尋ねたところ、「そりゃ治らん」とあっさり言われてしまった。まさか患者にはそうは言わないだろうが、同級生の気安さからか、みもふたもない表現だ。ただ、他の耳鼻科医の意見を聞いても似たりよったりだったので、私の場合はどうもよくなる見込みはなさそうだと悟った。耳というのは驚くほど機能的かつ精緻にできていて、特に中耳や内耳など、人為で修理というのが容易ではないのは分かる。
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体験として、全てが同時ではないにせよ、以下のような症状が緩除に悪化してきて今に至っている。

・常に耳鳴りがしている

・相手の言葉がわからず聞き返すことが多くなった

・多くの音の中から特定の声を聞き分けるのができなくなった

・左耳はほとんど聞こえなくなり、右耳も少しずつ聴力が低下してきた

・声や音がどの方向からしているのかわからず戸惑う

・喧噪な場所やバックグランドミュージックがあると特に会話が難しい

・広い部屋での会議などで相互が離れると声が聴きとれなくなる

・濁音がはっきり取れない

・マイクの音がクリアにとれない

・マスクをした人の声が聴きとれない

・会話の時にどうも大声で喋っているらしいと気付いた

・相当に音量をあげないとテレビの音が聴き取れない

・不意の大きな音は強くひびいて不快感を覚える

・カラオケが楽しくなくなった

・コンサートの楽しみが半減した

 

難聴にも色々なタイプがあり、一概には言えないが、大体のところは共通しているようだ。先天性の場合は最初から音が認識できない、あるいはしにくいわけで、後天性とは様相が異なる。その中にあっても非常な努力を重ねて、プロゴルファーになった人もいるし、視聴覚障害のハンディキャップがありながら東京大学教授になった人もいる。私ごときで泣き言を言っていたら罰があたりそうなのであまり嘆かないようにしているつもりだが、この程度であっても、不自由は不自由だ。

 

対策の一つとして補聴器というのがある。最近は色々なタイプがあって、なかなか芸が細かい。ただし、少し高級なものは軽の新車価格ぐらいでとんでもなく高価だ。機器自体の製造費用がそんなに高いはずはないので、もう少し安くならないものかと思う。色々試してはみたものの、満足感は得られず、正常な耳には全くかなわない。とはいえ、健常な時に戻すというのはできない相談なので、とりあえずは必要な状況に応じて補聴器を装着するようにしている。

 

例によって締めは書の話。駄文を連ねるブログであっても、常に何か情報は提供していきたい。下に掲げるものは現役の耳鼻科医によるもので、耳について、その精緻な構造から驚くような脳の機能、補聴器に至るまで、わかっていない点も少なくないと率直にのべた上で、非常に網羅的・包括的に書かれているお勧めの良書である。
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