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2016年7月 2日 (土)

へんな星たち

宇宙の研究者は、あるいは結果的に宇宙を研究している場合も含め、理論系、実験系、観測系の3つに大別できる。宇宙についての本をよく書いている大栗博司さんや村山斉さんは理論系で、梶田隆章さんや故戸塚洋二さんは実験系だ。初期宇宙が指数関数的に膨張したという今で言うインフレーション理論を提唱し、ニュートリノトラップという現象を予測した佐藤勝彦さんも理論系と言っていいだろうが、実験系とも関連は深い。

 

この先生は何をしているのだろうと思った時、こういうふうに考えてみれば理解はしやすくなる。もちろん相互に関連しているしその領域単独の知識で済むということはあり得ないので、専門でなくてもある程度の知識はあるし、持ちつ持たれつの相互交流でトライアングルを作っている。そうは言っても、それぞれが高度に深化しているので、理論系の人は星の観測は苦手だし、観測系の人は超弦理論だとか高次元とかの話はあまり得意ではないらしい。

 

2016620日付で発刊されたばかりの『へんな星たち』(講談社ブルーバックス)の著者の鳴沢真也さんは観測系の研究者だ。多分、夜空の一部の星々をチラリと見るだけで、これは何座の何という星だ、というのをすぐに言い当ててしまうだろう。研究としての専門は星が2個か3個並んだ連星系や変光星のようだ。その研究者が、『へんな星たち』、副題を「天体物理学が挑んだ10の恒星」として、まさしく“へんな星”を10あげて紹介したのがこの書である。
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理論系の研究者はひとつのシンプルな理論で全ての物理現象を説明するというのを目標に頑張っているわけだが、こういう星を見れば腰を抜かすかも知れない。“あなたたちの理論はまだまだ青い”とでも言っているかのように、バリエーションに富んでいる。どうして宇宙はこうもややこしいのかと、嘆息のひとつもつきたくなるに違いない。ま、それは冗談で、わからないことだらけだというのは研究者が最もよく知っている。

 

10光年の長い尾を引くミラ。「いったいおまえは、それでも恒星なのか?」と鳴沢先生。本当は怖い香取線香のWR104。「墨を吐いて姿をくらます、まるでタコなやつ」と表現されたかんむり座R星。などなど、面白い表現でへんな星を紹介している。

 

こういうハデハデもいる。いっかくじゅう座に属していて、明るさがコロコロ変わるV838という星らしい。しかも超デカイ。
V838_2

http://image.search.yahoo.co.jp/search?rkf=2&ei=UTF-8&gdr=1&p=V838%E6%98%9F

爆風でなんとも奇妙な姿をしているりゅうこつ座イータ星。星本体はくびれたところにいるとみられている。
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http://image.search.yahoo.co.jp/search?rkf=2&ei=UTF-8&gdr=1&p=%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%BF%E6%98%9F

 

天体望遠鏡を覗けばこのように見えるわけではなく、はるか遠くにあるので、地上からは見えたとしても大きさのない光る点にしか見えない。そもそも人間の眼で見える光は可視光というごく限られた範囲の波長の光でしかない。そこを、地上の天体望遠鏡、X線観測衛星、宇宙望遠鏡などを駆使して合成して姿を描き出し、やってくる光の波長などを分析してそれぞれ着色して形をとらえるわけである。興味深い星が見つかった時は観測機器を一斉にその方向に向けて探査するらしい。

 

太陽系の惑星など、同じ長屋どころか3畳一間に一緒に住んでいるぐらいのものだが、かろうじて土星の輪を見つけたり、木星のシマシマを見つけたりした昔の天文学者がこういう万光年かなたの恒星の姿を見たら、これまた腰を抜かすだろう。これから、重力波やニュートリノの観測が進化すればまだまだもっと驚くような宇宙の姿が見えてくるかも知れない。なんとも楽しみではある。政治家は勘弁してもらいたいが、こと星に関しては、“へんな奴”が多く出てもらいたいものだ。

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