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2016年3月31日 (木)

エプリールフール

今年も41日がやってくる。この日はウソをついてもいいことになっているらしい。といっても、誰かに害を与えるようなたちの悪いウソはダメ。何年か前に「空を飛ぶペンギンを発見!」という海外からの情報があったが、これだと、万一に信じたとしても、誰にも何ら損害はなく、あとでエプリールフールと笑いとばせる。愛嬌のあるペンギンはネタにしやすいのかも知れない。
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アマゾンの熱帯雨林で新種の動物を発見! かねてよりその存在が現地で囁かれていたワニガモと見られる。
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もちろんそれもウソ。こういう写真はユーモアセンスあふれる航空評論家の西川渉さんのHPに掲載されていたもので、いずれも海外のどなたかが合成したのだろう。下記のようなものもある。面白い。
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私はと言えば、かつて自ら巻頭言を書くミニコミ紙を毎月発行していて、毎年41日は大うその記事で遊んでいた。「わが医療法人がグアムに保養施設を確保し、34日航空券込みで5万円」とやったら、マジに申し込んできた人がいたのにはびっくりした。Nashville Street, Guamなどと、もっともらしいデタラメな住所を表記して国のところにUSOと書いておいた。「これ、USAの間違いじゃないですか」と御丁寧に指摘してくれた人もいる。今ならそういう安いのもあるかも知れないと思うが、当時はあり得ない価格で、だからネタになった。

 

やたら書いているせいか、私が芥川賞を取りそこねた、というウソは信じた人が多かった。文の中で、「芥川賞もそうだが、最近は面白くないことが多くて、5人いた愛人も2人になってしまった」と大仰に嘆いていたので、まさかそれを信じたわけではないだろうにと、不倫ネタが喧しい今になって心配になる。

 

浜田省吾が夜に人目を忍んで救急外来を訪れた、というのは、会いたかったのに、と残念がった人が少なからずいた。「サングラスをしたまま診察室に入ってきたのにはムカついた」と、もっともらしく書いたのでひっかかったのだろう。当時は人気絶頂だったので、「あれはウソ」と言ってもなかなか信じてもらえず、彼と私が同じ歳だと言えば、「ウッソー、イヤ! イメージ壊さないで」と言ってこちらは本当の話なのに信じてもらえず。

 

サイン会ネタはひそかに考えていて、もう10年以上も前になるだろうか、秘書的な仕事をしてくれていた女性に今は誰が人気なのかと尋ねたところ、「福山雅治」とすぐに返事がかえってきた。当時私は福山雅治のことはよく知らなかったのだが、では彼でいこうと知恵を絞った。長崎出身だというのもひと通り調べた上で、職員の長崎出身者をダシにして、「当院でサイン会を開催!」という一文をものしたところ、幻のサイン会場に30人ぐらい集まって大騒ぎになった。「これ、きっとひっかかりますよ」と笑いを隠しながら騙しに加担した彼女が蒼くなったそうだ。「まさか」「これってウソよねぇ」「でも、もしかしたら」とワイワイ言いながら女子職員諸嬢が読んでくれたらしい。

 

もちろん、どれも「April fool号」としていたし、ウソだと分かるヒントを一文の中にしっかり散りばめているのだが、心理というのはそういうものではないらしい。字面にポンと飛びついて思いこむからひっかかる。世に詐欺師が絶えないはずだ。

 

すぐにウソと分かるのは面白くない、かといって、ひっかかった人がダメージを受けるのもよくない。その落としどころを探るのも楽しくはあった。読む方も、「もうダマされない」と思いながら、今年は何をやってくるのかとひそかに楽しみにしていたフシもある。相当に脳に汗をかくので、さすがにもうやれないが、この時期になると、そんなことなど思い出す。

 

個人開設のブログとはいえ、バナーを病院のHPにおかせてもらっているので、こんなことばかり書いていると理事長からお叱りを受けそうだ。医療ネタからしばらく離れてしまったので、次回は医療に触れてみたい。

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