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2015年12月 8日 (火)

『絶対に行けない世界の非公開区域99』

『絶対に行けない世界の非公開区域99 ~ガザの地下トンネルから女王の寝室まで~』(ダニエル・スミス 小野智子+片山美佳子訳 日経ナショナルジオグラッフィク社)という本があって興味深い。南極の最高峰だとか6mの深海だとかは、一般人はどうやっても行けないわけだが、そういう話ではない。物理的に行けないことはないけれど“絶対に行けない”ということで、それはいったいどんなところかと、またまた好奇心が湧く。
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といっても、特別に奇をてらった書ではない。行けない場所は、やはり軍事関連の基地や機密情報が集められた場所、特殊な研究の場所が多い。核廃棄物隔離試験施設、CIA本部、ペンタゴン、バチカン機密文書館、イスラエルの諜報機関であるモサド本部、などがあげられている。それはそうだろうと、これらは納得。

 

副題にある「ガザの地下トンネル」とは、ガザ地区とエジプトを結ぶもので、1000本以上もあり、物品を入手したり、あるいは武器輸送や犯罪組織の麻薬運搬などにも利用され、イスラエルもエジプトも手を焼いているらしい。ガザ地区は面積こそ小さいものの、ヨルダン川西岸にあるパレスチナの離れ領土で、人口は多い。支配を巡る内部抗争、イスラエルとの闘争など、ここは語るに非常にややこしく、単にトンネルの話では済まない。ともかく、隠さねばならない非常に物騒な代物であることは確かで、その意味で“行くことができない”。

 

バッキンガム宮殿の女王の寝室は、あえて訪ねる必然性がありそうにもないし、歓迎されるはずもないが、本来厳重な警備がなされていたはず。だが実は、侵入されたことがあり、こともあろうに、女王にタバコをねだったらしい。侵入者は厳重な管理のもと精神療養施設で数ヶ月を過ごすはめになったようだ。今は一層警備が厳しくなっている。

 

アメリカのテキサス州には、「法医人類学研究施設(FARF)」というのがあって、“野外に放置された死体が分解していく過程を観察し、その成果は特に犯罪科学捜査の分野で役立てられる”そうだ。多分献体だろうけど、人間の死体を一度に6体、森とか池など色々な条件のところにおいて研究する。誤ってそこに迷い込んだら悪夢どころの話ではない。だから、誰も入り込めないように厳重な管理がなされている。

 

ブラジルにあるイーリャ・デ・ケマダ・グランデ島にも絶対に行けないとか。
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サンパウロ沖わずか32kmに浮かぶ島なのでどうということはなさそうなのだが、この島にはゴールデンランスヘッドという猛毒のヘビが5000匹棲息し、その密度は1平方m1匹。今は無人島になったものの、かつては灯台守がいて、同書には、「この島の灯台守は世界最悪の職業だったことは間違いない」と記されている。このヘビはクサリヘビ科というから、マムシやハブの仲間だ。ヘビ好きには憧れの島かも知れないが、特別に許可を得た研究者以外は上陸を禁止されているので行くことはできない。余談ながら、群馬県にあるスネークセンターのQ&Aが面白い。「ヘビが家の中に入ってしまった。どうやって追い出せばよいのか」という質問に対して、「ふつうは放っておけばまた出て行きます」と。フツーの人はその“ふつう”が待てないんですけど。

 

特にお薦めというわけではないが、面白いと言えば面白いし、折角に少々高い本を買って読んだので御紹介まで。それにしても、色々な書があるものだ。

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