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2015年6月 5日 (金)

隕石の脅威

御嶽山、口永良部島と、火山噴火を画像で目のあたりにすれば誰でも恐怖心がわく。日本列島は火山活動期にあるそうで、我々はその上に乗っかって生活しているわけだから地震とあいまって枕を高くして眠れない。

 

先般、飛行機から伊豆大島がよく見えたのでデジカメで写真を撮った。火口がなんとも生々しい。遠方に見えるのは富士山で、ただ見ている分には美しいけれども、これもいつ噴火するかわからない。
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地震、津波、火山噴火とくれば自然災害の代名詞のようなものだが、被害と頻度からすれば自然災害の中でも豪雨や台風による風水害が圧倒的に多い。過去においては防災計画が風水害を主としていたゆえんである。ではそれらが最も怖い事象かというと、それはそうではない。

 

現実に起こり得ることとして考えられる範囲で、地球規模で最大の自然災害をもたらすのは隕石である。天が落ちてくるのではないかと心配することを中国の故事に倣って「杞憂」と言うが、幸いにして頻度が少ないものの、これは決して“杞憂”ではない。隕石は天から降ってくる。

 

『天体衝突』(松井孝典 講談社)によれば、50mサイズの隕石の地球への衝突は100年に一度くらい起こるらしい。300年も前に噴火した富士山の再噴火を恐れているわけだから、本来は恐れて当然の話だ。そうならないのは、現時点では全く対策がなく実感もわかないからである。富士山の噴火であればシミュレーションをしながら、ハザードマップの作成、避難訓練や重要機器の火山灰からの保護対策など、減災が少しは可能だが、隕石となると全くお手上げだ。

 

それで、隕石がどのくらい恐ろしいか、だ。2013年のロシアのチェリャビンスクに落下した隕石は20mぐらいの大きさで、上空20㎞か30㎞ぐらいで爆発し、その破片がまた爆発しながら落ち、その衝撃波などで家屋4000棟以上が損壊し、1500人ぐらいの負傷者が出ている。1908年に同じくロシアの大地に発生したツングースカ爆発は約60mの隕石によってもたらされ、上空6.8㎞で爆発したため、シベリアの大地を揺るがし2000平方㎞範囲の森林がなぎ倒され、その轟音は半径1000㎞にまでとどろき、振動は遠く離れたロンドンでも記録されたという。『天体衝突』の著者の松井孝典氏は、「幸いだったのは、落下した場所がシベリアの人跡未踏の地だったことである。もし、同様の衝突が、今回のような大都市(チェリャビンスク:引用者註)の上で起こったなら、その死者の数は100万人どころではなかっただろう」と書いている。とにかく速度が半端ではないので、途方もないエネルギーが放出されるわけだ。

 

恐竜を絶滅させたのはユカタン半島に近いメキシコ湾に落下した隕石による気候変動だと言われている。その直径は1015㎞ということなので隕石と言うよりも小惑星と表現した方が適切だろうが、先にあげたように、数十mの大きさ、上空でバラバラになってしまうようなものでもものすごい衝撃なので、この大きさのものが比較的に形を保って地球に激突すればどうなるか、想像に難くない。高さ300mの津波が発生したとも言われている。幸いに恐竜の時代の話で、それだけなら怪談話の類ではあるが、以後も、地球のあちこちで隕石落下の痕跡が残っているというのが恐ろしい。

 

今回は、こういう話もある、という程度に受けとめて頂くので結構だが、天体衝突は負の面だけでない。生存に必須の地球の水は彗星の衝突によってもたらされたという説が有力になっている。これも怪談話と同じでにわかには信じ難いが、どうもそうらしい。地球の衛星の月もそもそもは天体衝突の産物だ。月がなかったら今の地球はあり得ない。その説明だとか、小惑星と彗星はどう違うのか、太陽軌道を回っているはずの小惑星のかけらがなぜ地球に飛んでくるのか、受け売りを書いていけばきりがないのでそれらはまたおいおい紹介したい。

 

本稿最後に、天体に特に興味を持たなかった人からは、「では流れ星とはなんだ」という疑問が必ず出ると思うので、その点だけ付記しておきたい。流れ星はうんと小さいもので、彗星軌道の痕に残った塵などに地球軌道が突入した際に見られる。オリオン座流星群だとか星座の名前がついているが、誰がどう計算して予測したのか、その方向に見えるというだけで距離からして星座とは全く関係ない。光って燃え尽きるだけなので害もない。気が滅入る災害のことから離れ、願いがかなうと信じて、時に夜空のロマンを楽しんでみるのもいいかも知れない。

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