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2014年12月23日 (火)

海外旅行保険

年末年始に海外に出かける人も多い。その際に、海外旅行保険に入るかどうか迷うのではないかと思われる。短期間の割に金額が高いし、かけすてなので、あまり加入したくないというのが本音だろう。クレジットカードに海外旅行保険がついていることもあるので、「まあ、それでいいか」と思いがちだ。

何事もなければそれで問題はない。ところが、何か起こった時、ここでは傷病の場合の話だが、万が一に車いすにも乗れないぐらいのひどい怪我をする、自ら動けないほどの急病に罹患する、といった時には、傷病自体もさることながら、本人はもちろん、同行あるいは急を聞いて駆け付けた家族もひどい苦境に陥ってしまう。アメリカは医療費が高いのでクレジットカードでの保証額などすぐに吹っ飛ぶ。もちろん、多くは言葉でも難渋する。

病状がある程度安定したとしても、現地の医師が記入するMedical Information Form (MEDIF)というのがあって、援助を必要とする病状の場合は航空会社がこれを要求する。担架および医師と看護師のエスコートが必要、とチェックが入った場合は、そのようにしなければ搭乗させてもらえないので家族は途方にくれるはめとなる。 要するに、万一の場合は、いわば二重三重に非常に困るわけだ。海外旅行保険に入っていれば、医療費がカバーされ、保険会社から提携している医療搬送会社に依頼があり、その会社が段取りを行ってくれる。搬送は、外国人医療スタッフが担う場合もあるし、日本人医療スタッフが担う場合もある。

私は保険会社の回し者ではないが、なぜよく知っているかというと、その医療搬送を私自身が結構やったからだ。働き盛りの時に、医療搬送をやっていた医師に「必要とされるのであれば私もやってもよい」と伝えたのはいいものの、勤務医のかたわらではとても応じきれないぐらいの依頼があった。毎年2000万人近くの日本人が海外渡航しているわけだから、頻度は少ないとしても、海外で傷病を負う日本人は決して少なくないのである。幸いにしてほとんどの人はそういう目に遭わないが、不幸にして遭遇する人は数としては少なくない。正確な統計はないが、年間数百人は下らないのではないだろうか。

楽しいはずの熟年旅行の最中に脳出血で倒れ、ハワイから搬送した患者さんは本当に同情に堪えなかった。病室に着いた時、意識なくベッドに横たわった御主人に付き添っていた奥様が、「ああ、これでようやく日本に帰れる! ありがとうございます。宜しくお願いします」と言われ、まるで救世主か神様扱いであった。香港、ラスベガス、中国、タイ、ベトナム、中近東、ヨーロッパも経験したが、困ったという意味ではいずれも似たような状況だ。いつも1泊3日か2泊3日ぐらいの強行軍で、外国のこととて、すんなりいかないこともあり、日本に着いてからも目的病院まで搬送しなければならないが、やりがいはあった。日本で傷病を負った意識不明の外国人を本国に搬送したこともある。 下に、いくつか写真をつけておく。一般にはあまり知られていないことだが、本稿、こういう世界もあるという紹介まで。

2プライバシー確保のためカーテンで囲んだ機内の担架。エコノミー席が9席ぐらい使えなくなる。医師、看護師が覗き込むようにして状態を観察し、必要な処置を行う。

3_3ラスベガスからロサンゼルスまで搬送する際に使ったチャーター機。アメリカではこういう飛行機が手軽に活用できる。ロサンゼルスから日本にはJALの特設担架を利用。

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ベトナムで患者さんを機体後方のドアから特殊車両で搬入する前の様子。皆さん友好的で協力的だった。

4急病のスイス人を日本から本国に帰省させるためにチューリッヒから高知空港に飛来してきた医療用特別機。空飛ぶICU仕様になっていて少々の重症でも搬送できる。スイス航空救助隊はヘリコプター13機とあわせ、これを3機保有している。会員制となっており、会員は無料で救援に来てくれる!!

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