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2014年10月31日 (金)

天の川

中世ヨーロッパのジョルダーノ・ブルーノという人は、地球が星々の中心にあるのではないと地動説を主張し、旧態とした教会を批判して火炙りの刑に処せられている。近藤誠さんも今ここが中世ヨーロッパでなくてよかった、というのは悪い冗談だが、科学が当初異端とされてしまうような論の積み重ねで進歩していることは事実だ。

 

自分で取り上げておいて今さらだが、やはりがんの話は重いので、どうしても筆というかタイピングの手が止まりがち。そこで今回は「天の川」の話。

 

以前に天の川を安達太良山から見ようとして強風によるゴンドラの運航停止で見そこねたということを書いたことがある。そうそう行く機会はないし、夜のゴンドラ運航は来年まで待たねばならないので今でも残念に思っているが、その分、ネットや本で銀河のひとつであるところの天の川をあれこれ見ている。

 

太陽系は天の川銀河(milky way)の辺縁に位置していて、乾燥地帯で空気が澄んでいるチリのアタカマ高地からだと天の川銀河の中心部はこのように見えるらしい。中心には巨大なブラックホールがある。
Milkyway_2
暗いところは星がないわけではなくて、星間物質(水素やヘリウムなどのガスと鉄や炭素などの宇宙塵)のために見えないだけで、天の川銀河の中心部は星が密集している。中心部以外にもあまりにも多く星が見えるため、この地域の先住民は、星と星をつないで星座として神話をイメージするのではなく、天の川中心の暗い部分の形で動物や鳥をイメージしたという。肉眼で見える全天の星のほとんどが天の川銀河の星で、自ら光を放つ恒星だけで2000億個以上ある。

 

そんな天の川銀河がどんな形をしているのか、意外にもよく分かっていなかった。何億光年先の銀河を観察していながら、なぜそれが分からないかと言えば、中にいる我々にはこの巨大な天の川銀河全体を外から見るすべがないからだ。最新の研究では、天の川銀河は棒渦巻銀河の形をしているとされている。
http://www.nationalgeographic.co.jp/science/photos/photo_science.php?GALLERY_VignVCMId=22cc9f48ddfe4110VgnVCM100000ee02a8c0RCRD#/milky-way-ga.jpg
Milkywayga_2

 

その天の川銀河のサイズを分かりやすく図示したものがあった。

Galmap1_2

 


http://www.geocities.jp/milkyway_amanogawa/milkyway.htm

 

1光年は光が1年で進む距離。図だけでは大きさを実感することはできない。そこで、太陽系から最も近く“わずか” 4.3光年しか離れていない恒星にもし行くとすればどのくらいかかるか考えてみると分かりやすい。今、宇宙空間を飛んでいるボイジャー1号は時速6万キロ以上である。これは普通のジェット機の70倍の速度だ。このボイジャーがその恒星に向かって飛んだとして、到着するのは8万年後。太陽系外で最も近い星ですらそうなのだから、他は推して知るべしだ。太陽系から天の川銀河の中心まで28千光年というのは途方もなく遠いのである。

 星がこれほど遠いというのは残念な気もするが、ありがたいことでもある。というのは、大きい恒星はいずれ超新星爆発と呼ばれる大爆発を起こし、その特大なのが50光年ぐらいの近くで起こると、放射線のひとつであるガンマ線に強烈にさらされ、地球のオゾン層も破壊され、紫外線を遮るものがなくなって生物は深刻なダメージを受けると言われている。もっと近いところだと地球は完全にアウトである。

明るく見える星の中でわかっている範囲で超新星爆発が危惧されているひとつがオリオン座の四角の左上の角をなして赤味をおびて輝くペテルギウスだ。もっとも、見ているペテルギウスの光は
640年前のものなので、今爆発したとしても、我々にはすぐにはわからない。既に爆発しているのかも知れない。幸いに640光年離れているので地球は多分大丈夫だと考えられているが、星の爆発で危険にさらされるというのはなんとも物騒な話ではある。それらは全く我々のコントロール外であり、それこそ星に祈るほかない。なぜ原発と宇宙が関連あるのかということも含め、その辺りは稿を改めて私が知った範囲のことを紹介したい。

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